第94回米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞しましたね。日本映画の久々の快挙だそうです。いや、日本映画も盛り上がって欲しいですね。
ドライブ・マイ・カーを見ました
この映画、ご存じのとおり村上春樹さんの短編小説集「女のいない男たち」の中の一編です。
村上春樹さんの小説とは、かれこれ40年近い付き合いでして、高校生だった私は「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」などの小説を読みふけっていました。
当時、村上春樹さんブームの最中であり、その後も20年ほどは新刊がでると、必ず目を通していました。
なんというか、私が知るそれまでの作家とはちょっと違ってて、行き場のない焦燥感のようなものが漂う物語に、将来の不安を抱く若者が勝手に共感を抱いていたようなものだと思います。
しかしながら、「ノルウェイの森」くらいから、少し波長が合わないというか、違和感を感じ始めて少しずつ疎遠になってしまいました。
それが2年程前に、たまたま立ち寄った本屋で、この「女のいない男たち」を手に取り、一連の春樹ワールドから離れたような離れないような、80年代に回帰したようなしないような、この本を購入しました。
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映画の感想は
ここからは少しだけ、ネタバレありです。
小説では東京都内で完結していた物語でしたが、映画では広島から遠く北海道まで、瀬戸内の穏やかな海を眺める景色や、北海道の初冬の雪景色を織り込み、それをつなぐ延々たる道程を、外国のロードムービーのような形で描かれています。
主人公の家福(かふく:西島秀俊)の車は、小説では黄色のサーブ900コンバーティブルでしたが、映画では赤色のサーブ900turboでした。黄色のサーブなどは、もう存在しないんでしょうね。
さて感想ですが、先に原作を読んでいたのであらすじは大方知っていたのですが、映画ではまた違ったストーリーとして作りこまれていましたね。
家福の妻、音(おと:霧島れいか)の魅力は際立ち、女ドライバーみさき(三浦透子)の、原作にはなかった過去に関するストーリーが追加され、物語としてはより共感しやすいものだったと思います。
霧島れいかさん、この作品を見るまでは存じ上げませんでしたが、『素敵です』。
全体的に、村上春樹ワールドを損なわず、あえて小説で描写していなかった部分が付け加えられ、そもそもそうであったかのように成立させている所は、監督さんや脚本家さんの仕事が素晴らしかったのだと思います。
ラストシーンは、劇中劇のラストシーンと重なるのですが、その静寂の中で語られるシーンは心に残りました。
「俗世間の厳しさや苦しさに耐えるのはつらいが、しかしそれを一つ一つ認めて、それでも生き続けるしかない」と。
小説の結末とは異なってはいましたが、この映画としてはハッピーエンドではなかったか、と思います。
ただ、上映時間が約3時間というのはちょっと長すぎますね(笑)。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
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